白い壁に映る影が
かすれて形をなくしていく
声を呼んだ でも音にならなかった
名前さえも忘れていく
扉を開けた その先に
鈍色の雲が静かに崩れる
まだここにいるのだろうか
影を喰われた ぼくはもういない
色を失った空の下でひとり佇む
夜が消えて戻らなくても
それでもここで目を開く
静かにほどけた指先が
触れたものの温もりをなくす
影のない街に迷い込み
世界が音もなく消えた
扉を開けた その先に
誰かの影があるならば
まだぼくはいるのだろうか
影を喰われた ぼくはもういない
色を失った空の下でひとり佇む
夜が消えて戻らなくても
それでもここで目を開く
誰かがいた気がする
名前の消えた記憶の底
影はどこへ消えた
ぼくはどこで消える
影を喰われた ぼくはもういない
色を失った空の下でひとり佇む
夜が消えて戻らなくても
それでもここで目を開く